深みにはまる

yokkobukko2009-02-17

いいお天気でしたね。寒かったけど、もう陽は生じてしまっている。春になると富士山ともお別れです。
「明暗」、未完と書いてあるとこまで読む。ここまで書いてあれば、もう体はできあがってるから、別に構造的な結末をもってなくてもいい。あとは作品を往ったり来たりすればいい。それにしても。ひととひとが対峙すればかならず、はかない糸を張り合って、きわどい駆け引きがはじまる前半に、かなり消耗した。
はじめ愛するひととの関係につまづき、そこから相手の本質を捉えることにこだわり、研究を続けるうち、世界(自然全体)がまるごと自分のなかに入っているような感じがしてきて、そうなると一個人の位置に立っていられなくなり、その際にはもう愛するひとのことはちっぽけになっていて、人間存在全体にかかわる普遍的な幸福論(かならずしも幸福になるための哲学というわけではなく、その理を考えるというような)にいたる。これまで読んだ三作はそうだった。この流れがなんか学生時代に親しんだ陽明を彷彿とさせる。かならずしも閉塞していないところが漱石のおもしろいところです。「明暗」はどうなるんだったんだろか。