超久々に

f:id:yokkobukko:20210219172644j:plain 少し書いておきたいことができたので、発掘してみました。

    何年振りかな。昔の日記読んでみたら、意外ときちんと書いていて驚いた。自分は煮詰まっていくような文章しか書けないと思っていたけど。それって、このごろの傾向だったのか。わりとだらだら書くのが向いているのかも。

 書いておきたいことというのは、「鬼滅の刃」について。

 そのタイトルは一昨年前あたりから耳にはしていたと思う。本屋でもずらっと並ぶ単行本の表紙をよく見ていたけど、詰め入りの隊服を着たキャラたちの様相から、銀魂の周辺的なものかなと、深く気に留めてなかった・・・(誤解なきよう付け加えれば、銀魂は好きです)

 アニメの存在にいたっては、まったく気づいてなかった。

 それが去年、緊急事態宣言が出てたころ、細馬宏通さんがツイキャスだったかひとり語りの番組をやられてて、その中で言及された。これが興味を持ったきっかけ。番組内で細馬さんがなにを語られたのか、今となっては思い出せない。細馬さんが炭治郎(たんじろう)を「すみじろう」と言ってたのだけ憶えている。(ということは細馬さんはアニメではなくマンガについて語られたのかな)

 それからネトフリで最初の二話を見た。主人公の名前は、竃門炭治郎(かまどたんじろう)、ちょっと変わった節回しというか、音感を面白いとは感じたけど、絶対憶えられないと思った。まさか、のちにこんなに親しい名前になるとは思わなかった。

 ファーストインプレッションは薄かったのだと思う。のちの自分の熱狂ぶりを考えると、このときに確実に衝撃を受けていた(愛好の苗床になるような)はずだけど、その自覚はなかった。

 ある日、なんの前触れもなく鬼に家族を奪われ、生き残った妹も鬼にされ、それを人間に戻すために、鬼と闘う道を選ぶ主人公。

 ぽかーんとしてしまった。プロローグ的なものがほとんどない。準備運動というか、物語のあそびというか、そういうものがいっさいなくて、静かではあるけど物語は冒頭からいきなり、決然と、怒涛の本流に入っていく。

 まず、鬼になった妹を人間に戻す! って発想が意外だった。

 そっから諦めないんだ、って。静かな衝撃があった。枠組みが、ごごごって変更されてく感じ。

 たしかになくはない、というか、たとえば「鋼の錬金術師」も肉体を失った弟のそれを取り戻そうってとこから始まる物語だった。でもあれは最初から「等価交換」がテーマだったので、説明要らんというか、最初からその世界の約束事、ルールが提示されている感じはあった。

 炭治郎、というか作者の吾峠呼世晴さん、世界のルールを探るとこから始めんのか、それって、ものすごく面倒くさい道行きだな~、と、ちょっとびびった。

 で、実際、恐る恐る物語を追いはじめたんだけど、一話、一話、ワンシーンワンシーンが面白い。なにかな、これ、なにかな、っという未知のページを繰る興奮が連続していく。とにかくなにを見ても興奮してしまう。新しい人々、新しいルール。

 物語のたちあげに、一から付き合うって、めちゃくちゃ楽しいことだ。面倒くさいって楽しいことなんだよ。そんなの当たり前で、よく知ってたことのはずなんだけど、忘れてたなー。忘れてた喜びが帰ってきたことがまためちゃくちゃ嬉しかった。

 物語の土台づくり、たちあげの時期は、アニメだと10話くらいまで、単行本だと3巻途中あたりまでで、物語が完結した今の時点から振り返ると、あれ、そんなもんだったか、というくらい意外と短い。でも連載誌のジャンプにはそれはシビアな打ち切りの恐怖があるわけで、担当編集者さんとその危機を巧みにかわしてった裏話なんかを読むと、いやあ、よくぞ乗りきった、とまた別の次元でほっとするし、新人の身で(新人だからこそかもだけど)、よくぞ腹をくくって、きっちり描いたよ、と感服する。

 

 それこそ、炭治郎の生涯の仲間となる、善逸と伊之助が出てきてからは、もうなんというか、船はできたよ、乗組員もそろったよ、もうどこへだって、どんな海原へだって、辺境へだって冒険にいけるよーという状態で、もう、吾峠さんにおまかせします、どこへでもつれてってくれーと思いましたよ。

 吾峠呼世晴は、誰に近いっていったら、わたしは迷わず、萩尾望都だと思う。

 吾峠さんは物語をたーくさん抱えている。

 公式ファンブック(鬼滅の刃・鬼殺隊見聞録)で、まだ無名時代の吾峠さんが連載の企画をボツり続け、必死の担当編集者のなにかないのか、誰かいないのかという問い詰めに、最後の最後に、この子が面白いかどうかわかりませんが、と出してきたのが炭治郎と禰豆子! というのを読んだ(担当編集者は「なにそのザ・主人公!」と感嘆したという)。いたんだな、もともと吾峠さんの中に、炭治郎いたんだよ。

 大正こそこそ噂話に代表されるような、細かい設定や、サイドストーリーを読むにつけ、この人の中にはどんだけの子供達がいて、どんだけの物語があるんだろうって、わくわくするんですよ。

 もう、描いて、なんでも描いてほしい。

 描くっていうか、その子たちから、いろいろ話を聞いてほしいし、それをこちらにも伝えてほしい。よかったら、よかったらですが!!!という気持ち。

 

 アニメの話も書きたかったけど、もう今日は吾峠さんの話で胸いっぱいだなー

   うん、とりあえず、少し書きたいこと書けてよかった。

   ではまた。