ツール第十ステージ

つまらん。つまらんかった! 
無線なし、荒れるレースを楽しみにしてたんだけど。だらだらした実質ニュートラル化した骨抜きステージとなった。平均四十キロとか。優勝はカヴェンディッシュ。報道によれば、昨日朝にはもう選手間の申し合わせ(ひとつの逃げプラスアルファは容認、残りのぬけがけはなし、ゆっくり走る)ができていたらしい。ジロのミラノ・ストライキと同じ。体育会系らしからぬ政治的かけひきの匂いがぷんぷんする。たくらみごとの影にはいつもアスタナあり、ランスあり。有力選手、優勝候補が無線禁止レースに反対の立場とるのは当然だと思う。つまりそのぶん番狂わせの可能性、中弱チームに逆転のチャンスが生まれるからだ。わからないのは、そういう得する(かもしれない)連中がなぜそうもあっさりと、しかも全員右ならえで、強いもの、声のでかいもの、イニシアチブをとるものの提案、いや命令に従うのか。理解に苦しむ。普通の会社みたいだ。いや普通の会社よりヒエラルキーのしがらみが強い。「欧米社会は個性を重視する」みたいな幻想をいっきにうちくだく事態が、自転車界ではよく起こる。運営団体との交渉、マニフェスタシヨン、ストライキ、選手(労働)組合、「団結は力だ」とかいうスローガン。ひとにぎりの想像力豊かな人間に掌握される兵隊さんや奴隷さん。いずれにせよ昨日のレースで選手たちのとった選択というのは、つまり創造性に欠ける、個を捨てた選択だ。くだらん。し、つまらん。ランスの発言も正論でつまらん。ブリュイネールはそんなやつだからもういい。ときどき幻滅する。
無頼アルヴェセン鎖骨骨折、リタイア。サクソは目に見えて弱体化していくなあ。