ギエム

ギエム、毎年見ているなあ。ほんとは先週のプログラムも見るつもりだったけど、自転車あるんで、あきらめ。今日はフォーサイスの作品をふたつ。新作、映像との組み合わせがおもしろい。ベートーヴェンソナタ32、すごく好きな曲、今日の演奏は最後のほう、ほんとにジャズ解釈だったな、跳ねて、跳ねて、もう音符のダンス。ギエムのバレエに合う、合ってた、ほんとに。ヨーロッパのひとりぼっちの痩せこけたおばさんの物語、扉の内に入ってきて(この扉の解釈については、ちょっとよくわからない、恋愛相手の心の中へ入る扉かもしれないし、自分自身の心の扉かもしれない)、とにかく、ひとりぼっちの格闘が続き、そして最後は人々の世界へ帰っていく。
ギエムのバレエってのは、まるで映画だ。ほんとにささやかな部分も完璧に踊るものだから、すごく変な話だけど、もうバレエを気にしなくてよくなる。物語だけに集中して、主人公に感情移入してしまう。
たとえばほかのダンサー、今日の東京バレエ団プリンシパルの方々だって、みごとなダンスを踊った。でもたぶん、振付士の頭にあるそのダンスの完成形、理想には到達してないと思う。本人も、観客もそれはわかっている。できた形を見る、というのがダンスです。でもそれを見るとき、どうしても頭で修正しながら見てしまう。ほんとはこうなるはずなんだろう、というふうに。
ギエムについて、そういう余計な修正はしなくていい。ただ見ればいい、楽です。感情解放されるし、楽しかったです。