夜更けから大雨

ダグラス・サーク「天はすべて許し給う」「愛する時と死する時」タイトルからしてだけど、この監督はどのくらい聖書読むひとだったんだろうか。そしてジェーン・ワイマンという女優さんは美人じゃない。ドングリ目玉のおばさんだが、恋愛の絶頂、ふたりの愛が成就した瞬間にみせる目がすごい。ドングリ目がうすぼけーと翳り、灰色のグラデがかかって、空ろな洞になる。これがアップになる。畏れる、やっぱりひとはそこで畏れを感じるよな、と思う。
「疑わないなら、信仰は必要ない」だったか、後者に登場する教授が主人公に言うセリフ。メロドラマってこんな含蓄あるもんなのか。この時代、映画って大人が見てたんだな。
文芸春秋芥川賞読んだ。ふたりともオーソドクスな文学だったんで、ちょっと意外だった。そして双方リズミカルな。もう何年も前からベテランになってます、みたいな、箔があった。審査員評がおもしろかった。朝吹氏に対して、すこし表現にむらがあるとか、甘あまなとこが残ってるとか複数の厳しい指摘があって、川上弘美が挙げた例など、読めばなるほどって感じだけど、もちろんわたしは読んでるとき気にならなかった。そういうムラは素人っぽいからダメってことになるのか、と知った。知ったというか、肝がちぢむというか。