くもりのち雪、大雪

お昼に偶然映画。ダグラス・サーク特集。これから毎日やるらしい。「心のともしび」非常に興味深いストーリー。ラドクリフという画家の存在がとりわけ興味深い。父とか神さまとかの化身なんだろうけど、海外文学読んでると、ときどき出会うこの父性愛、ものすごく特殊な形してるからいつもガン見してしまう。ヴォートランや、スヴィドリガイロフや、魔の山にもいた。放蕩息子の父なのかな、えこひいきするの、だめな子ほど。
ある日どこかでカーネーションの「あの日どこかで」はこの映画に由来するという。ずっとみたかった。こないだ気づいたら衛星でやってて、20分ほど見逃したけど、見た。いわゆるカルトムービー。ものすごい欠陥があるわけでもなく、かといってものすごい傑作ってわけでもなく、有名監督でもなく、有名原作(脚本は原作者本人が書いている)でもなく、こじんまりとした映画なんだけど、クリストファー・リーブがものすごく美しい。こんなきれいなひとだったか、このひと。こんなガタイいいのに、顔のつくりが繊細で、いやーたっぷり見とれた。ファムファタルという設定の女優さんももちろんきれいなんだが、迫力負けというか、だって相手はギリシャ神話の美青年みたい。もう彼が映っているだけでいい、そういう映画。10年代ファッションもよかったけど、アスレチックスかなんかのTシャツ姿もよかった、こうむちっとな、自分はこう、まち針みたいな男が好きなのかと思っていたけど、やっぱ変態だった、変態心に火がついた!話は「マリーン」。金の懐中時計はどこから来たのか、タイムパラドクスのつくりかたが憎い!
でも最初20分の空白、やっぱ見たい、次の放送は20日くらいらしい。原作本持っているのでこの機会に読む。こちらもこづくりながら、いい。こっちはこっちでミス・マッケナという女優のひととなりが意外にも魅力的で、世紀末と70年代の女性解放運動がリンクしちゃってたまたま生まれたのかもしれないけど、魅力的人物でした。過去に惹かれ、肉薄していって、そこで生きる、精神の力だけでという迫力。ラストは映画のほうがいい。もうずっといい。設定の変更はみんなうまくいっている。舞台の年代をスライドさせたせいで女優さんの魅力がすこし抜け落ちたけど。脳腫瘍の設定もなくていい。説明不足なとこが吸引力になってるし、シナリオの欠陥がうまく魅力に翻ってる、カルトムービーってそうゆんだな。ささやかなの、実のところ。
下のお姑さんに文芸春秋渡される。
夜、大雪。みるみる積もる。