いざオタンへ

ヴェズレーから来たタクシーだった。おじさんはヴェズレーにまであたってくれたのか、と胸が熱くなる。あんな愛想ない様子なのに、ひとってわからない、というか、つくづく味わい深いなと思う。運転手のお兄さんはジョージ・クルーニ似のハンサムさんで、こちらの苦労など知らないのんびりした風情だ。モルヴァンのただなかを一時間ほどドライブ。気持ちのよいうねりだ。ロードバイクで走りたいと、またむくむく自転車心が。ほんとにきれいな地方ですね、というと、うれしそうな顔をする。自分の地方が誇りなんだな。
無事、オタンへ着き、メータ料金、140ユーロ強。途中、かかってきた電話の応答からこのひと明日も働くんだとわかり、すこしほっとする。休み返上で往復160キロも走らせたんでは悪いな、と思ってたから、とあとでBに漏らすと、日本人だねーと言われる。
「黒頭」というホテルへチェックイン。家族部屋なので広い。とりあえずシャワー浴びてほっとする。しかしまだ仕事は残っている。自転車屋の返却期限は一応月曜午後6時となっている。たしかホームページでは火曜定休日とあった。アヴァロンの窓口おじさん情報を信じるなら、一番列車がパリに着くのは午後7時50分。うーむ、問題山積だ。まずは自転車屋に連絡取りたいが電話番号見つからない。ホテルに客用のコンピュータはないのでネットカフェを探そう。