祝、アヴァロン着

最後の難所越え、ようやくアヴァロン着。十二キロ、たしかにそんなもんだろう。当初、日本で立てた予定ではソーリューまで走るつもりだったが、あと40キロなんて、とても無理だ。ここは無理せず電車を使おう。手持ちの時刻表によれば、次のオタン行き電車は3時半。まっすぐオタンまで行けば二時間だが、真ん中のソーリューでここでいったん下車して一時間観光して、次の5時半の電車に乗ろう。ソーリューの聖アンドッシュ教会の柱頭も見逃せない。
さて、それまで三時間ほど、のんびりアヴァロン観光をしよう。
国道から中心街の標識にそって町に入っていくと、徐々に中世の街並みに変わっていく。土曜日だからか大きな市が立ち、にぎわっている。なんかわくわくしてくる。ヴォーバンの銅像の建つ公園前は洋服や雑貨、市場広場まで行くとチーズや、ワイン、野菜の市が開かれている。自転車を停め、歩く。もう正午近くでどの店も投げ売りタイムに入っている。大なべにはパエリア、おもしろいことにプロヴァンス米とインディカ米がある。インディカ米のが売れている。石畳の形をしたパヴェというサラミがめちゃめちゃ旨そう。サラミ屋で味見。屋内には魚屋もある。とにかく活気があるし、ものが旨そう、腹減ったなと漏らすが、Bは減ってないのだそうだ、朝食べ過ぎたんだと。なにも買わず、商店街へ。ぶらぶら中心の通りを歩いていくと、やがておおきな時計塔のついた門に着く。
   
時計塔がよく見えるその名も時計塔というパブのテラスに腰下ろす。黒板に定食の文字。サーモンのポピエット!大好物です。Bはレモネード。ポピエット、それは鮭餃子。付け合わせに米選んだのでまさに定食です。ここのは見た目ロールキャベツのよう、それにシンプルなトマトソースに、白ご飯。ふたりで分け合いながら食べる。いいですよ、とても、味もさっぱり。中は薄暗くピンボールがあるようなふつうのパブ、カウンターの立ち客は常連ばっか、と思ったらとなりのテーブルも常連さん一族で、なんかどうなの、と思ったが、意外と放っておいてくれるし、居心地いい。疲れた身体をだらーとのばして中世後期の時計台眺める。うしろの一族が「アヴァロン人に乾杯!」とかやっている。適度にうるおった、現役の町なのだろう。食後にコーヒーいただき町歩き再開。町はずれの教会までいって、Uターン。昼休みに入ったので店が全部閉まっている。さっきまで市場にたむろしていたひとびとはどこへ?役場前、市場広場の噴水前でぼけっとしてたら結婚式の一行が。
  
ヴォーバンの銅像公園へ移動し、木陰で呆ける。2時半、町が昼休みから抜け始めたころに、駅へ出発。すこし早いが切符を買おう。