自転車の速度で

9時半、宿チェックアウト。出発。とりあえずアヴァロン目指す。ガイドブックによれば十二キロの距離。最初の3キロほどは下り。あとは緩やかな上りがしばらくつづき、頂上からはすばらしい景観が眺められる。その後、一気に同距離を下り、最後にきつい上りが待っている、とオジサン。なんかちょっとだけうれしそうなんだよ。がんばります。
これまで歩いたり、バス乗ったり、タクシーだったり田舎の道はなんやかやで知っているつもりだったが、自転車で走ってみるのはまた違う。適度に自由で、やっぱり拘束されている、それは自分の体調とか、疲労とか、乳酸とかに。もう最初の上りが始まった段階で、足に乳酸たまっている。のんびり、押したり、水飲んだり、目標としてはアヴァロンに二時間で着ければいいな、という感じだ。坂道の途中、途中で振り向くとちょっとずつヴェズレーの山が遠くなっていく。
   
ひたすらドまっすぐな坂道を上る。真っ白な牛さんたち。このへんは牧草地らしい。村に入って出て、また次の村がやってきて、というような繰り返し。うしろからお爺さんの乗ったロードバイク。マイペースで進んでいって、やがて見えなくなった。いちばんの難所と思われる上り坂のてっぺんに十字架。
  
休んでたら、前からタンデム(二人乗り自転車、よっつのペダルでふたつの車輪を回す)がやってくる。えっちらおっちら。うしろに小さな三輪車とワゴンがひとつくっついている。パパとママとチビと赤ちゃん。あれでこの先どこまでいくのか。がんばってーと言葉交わし別れる。