ギエムとアクラム・カーン

yokkobukko2009-12-20

午前コーラス。十月のコンサートの録音を聴く。録音で聴くとちがった印象受けることある。まずソロ、あんなにすばらしいと思ったUさんのカウンターテナー、すこしパワーがない。逆にイエスのソロ、ソプラノHさんのソロがいっそうすばらしく聞こえる。しかしコーラスの印象は・・・失敗したとこは失敗したまま、気になった曲の頭のアタックも弱いままで、ぐにょぐにょな気分になった。もっと美しくなれるはずだな。歌いたくなりました。
午後は上野へ移動。バレエをみるのは一年ぶり。ギエム&アクラム・カーン・カンパニー「聖なる怪物たち」。たいていコンテンポラリー見ると、五分で寝てしまう。 今回も一部はあぶなかった、つか寝てた。ただ、これはバレエだろうか。インド風の音楽、生演奏、そして男性と女性の歌が実に美しかった。このあいだユッスンドゥールをめぐるドキュメンタリーに出てきたエジプトの音楽にも似ていた。それと独特な語り。ギエムとアクラムの対話。対話して、踊って、対話して、踊る。これに音楽が絡むので、舞台芸術のひとつだけど、もはやバレエとはちがうものだろうと思う。演劇ともちがう。対話は、日常的だけど、非常に感覚的なアーティストの雑談。観客の共感は待望されてない。ただその対話が、いつもなんでこのひとたち踊ってるのかな、なんであたしここ(観客席)にいるのかな、と置いてけぼりにされるコンテポラリーダンスに対する、ある種の見方を与えてくれる。まとまった物語や形態を求めるのじゃなくて、気分や感覚で動き始めた手足、そして全身の運動を時間に沿って眺めるという、順々なものの見方。なんといってもアクラムさんとギエムの、ぜったい相容れない、相容れないまま付き合うダンスはおもしろかった。お互い努力はするんだけど、かならず最後に諍いになる。
ただコンテンポラリーというジャンルがそうなのか、動きに制約が多い。体力は限界まで消耗されるが、クラシックのように人間の身体能力の限界に挑んでいくような動き、すかっとするような気持ちのよい動きはない。もっと伸びてほしい、もっと跳んでほしいと思っても、(彼らにはそれができるにもかかわらず!)それがかなえられることはない。舞台はおもしろかった。ダンスはわからなかった。この二文を接続詞でつなぎたくはない。