番外編 ペンションまんが

十里木高原ペンション、朝飯を待つ時間、Bは二度寝。わたしは谷口ジロー。「遥かな町」タイムスリップもの、といっていいのかな。物理的というより、プルースト的時間旅行。そのせいか、主人公がわりと前向きに過去に干渉していくところがおもしろい。そのうちの大きな軸になるのは、父親失踪回避への試み。結局過去が大きく軌道を変えたりすることはなく、どちらかというと成熟したいまの自分が、あらためて過去を詳細に検討し、解釈をする、経験する、生きなおすという物語。初老のおっさんの感性が十四歳に投入される最初のあたりは、わくわくとかいうより、げんなりというか、少々気味悪いんだけど、それはそれ、なかなか笑えもする。二度読みたいか?と訊かれればノーだけど、勉強させられることもあった。父親の行為をどう解釈するか、理解できないぶん余韻残った。