エンケン&あがた森魚

吉祥寺スターパインズ。ひとのライブに乱入するときのエンケンと、ひとを自らの舞台に迎えるときのエンケンはまるでちがう。手加減とか優しさ、とも、なんかちがうなあ、少しばかり隙だか、遠慮だか、敬意だかが入るのか、いや好意が入るのか、ちがうひとになってしまう。あがた森魚が特別なのかもしれない。エンケンのなかに不純物が入ったかんじだった。ふたりでやった「カレーライス」が特別不協和音だった。ふたりでいっぺんにアルペジオ弾くしね、リズムばらばらだしね、ぜったい合わないしね。しかし、なんだ。あがたさんの歌声って、残る、何日も。サトウケイコせんせいは残酷なひとですけど、がこびりついたぞ。エンケンは新曲やった。「みんながぼくをほめるのは、ぼくが年寄りだからかな云々」という自信のない、らしくない詞に胸がぎゅっとなって緊張したけど、よく考えたら表現が裏表なだけで「不滅の男」もそんな歌なんだ。自分がなんでエンケン好きなのか、あらためてわかった。しみったれた、洞窟みたいなライブだったな、そんな気分だったんだろ、梅雨だし。