ブニュエルと誕生会

難波田さんの絵

語学の日。ルイス・ブニュエルのmon dernier soupirをほんの少し読む。美しくて、ためいきする。好きなこと嫌いなことが淡々と述べられていくくだり。ファーブル昆虫記が好きで、サドが好きで、しっとりと霧に覆われた巨大な森より美しいものは思い浮かばず、雨の音が好きで、寒さが好きで・・・というような。文章なんだけど、ビジュアル刺激が豊富。やはり視るひとなんだな、このひとは。ひとりでに静かに開く本棚とか、どこまでも下っていく階段とか。すてきだ。ぜいたくな本だ。えらい得した気分になった。
夕刻、家族と待ち合わせて居酒屋。義弟の誕生会。和洋折衷のこじゃれた居酒屋。十坪ほどの狭い敷地ながら、ロフトを駆使して、思いがけぬ場所にひとが坐れるようになっている。我々は天井に手が届くいちばん上層の座敷。たんすの上にちゃぶ台を載せてそこで飲んでるような感じでおもしろい。下に飲むひとびとを見下ろす。高野文子にひとの家に住んでるコロボックルの話があったが、こんな感じで屋内を見下ろしていたのかもしれない。反対側は一面ガラス張りで、ちょっと浮遊感がある。すぐ下に甲州街道、すぐ横に歩道橋が見える。歩くひとの足元だけが見える角度。甥っ子はこの高さが怖いといって、窓際に近寄らない。義弟に会うのは数ヶ月ぶり。焼酎がうまく、飲みすぎた。帰りにサービス券をもらって姉妹店のバルに寄る。また飲んで食べて、ほんとに飲みすぎた。