ひとにあう―神戸篇

yokkobukko2008-12-30

三条の橋のたもとのたわしやさんで箒とたわしを買う。伏見からここのたわしを買いにきたという安藤忠雄似のおばちゃん(顔も声も髪型も)に、ここは日本でいちばんいいたわしややで!と太鼓判押される。その後女将さんに掃き方の指導を受ける。
神戸では絨毯やさんのMハンさん、Yえさんに会う。ふたりにはちょっと前に東京で会ったばかりだけど、お店を訪ねるのは久しぶり。いきなり「おもしろくない絨毯みせたるわ」と数枚、いろんな意味で微妙な絨毯を見せてくれる。つくりも産地もいいのにへんな柄の(キッチュな)もの、つくりも産地も微妙なうえ管理状態も悪かったもの、粗いつくりで柄ゆきだけぱくったコーカサスもどきなど。そして、ときに生半可な知識が、目の前にあるものをちゃんと見る目を曇らせるという話を聞く。これも勉強なんだな。今日はこれでおわりかと思ったら、コーカサスへ展開。なんて可愛らしいのかと、一枚いちまいに惹かれる。なにしろ物語を持たない絨毯はない。柄、色、間の抜けたのも、緻密なのも、飽きない。が腹減り、元町へくりだす。お好み焼きご馳走になる。神戸のお好み焼きって、生地は大阪風、焼き方は広島風なんだな。つめたい風びゅうびゅう吹くなか四人で埠頭までぶらぶら散歩して、お茶して、デパ地下やら薬局で買い物して、なんだかほんとのともだちみたいだなと、じわあと感じる。もとはといえば客とお店のひとなんだけど、Mハンさんてなんだろ、縁のあるひとだ。親でも子でもないけど、べつの縁。
しかし中途半端でないほんとうに手厚いもてなしで、これまでの自分がひとに(おもに九州のI田さんに)してきた悪行をつくづく反省する。夕飯は坂の上のクラブで。はじめて会った日もここで昼飯おごってもらった。おごったりおごられたり、金を払ったり払われたりみたいなことがあいだにあって、ひととの関係ってうまくいくもんだろうかと頭ではうまく整理つかないんだけど。前にきたときも食べたサモサを、そのときはいなかったBもいっしょに食べている奇妙さと感動。Mハンさんも縁の話をよくするひとだ。夜が更けるまで四人で奇妙な縁の話を食べつづける。