再見、川上弘美

yokkobukko2008-12-19

昨日、階下の姑に、お忙しいでしょうけど、この短編だけ読んでみて、と渡された本。お忙しくないのですぐ読む。「長い夜の紅茶」。ちょっと癖のある、かなり味のある姑が出てくる。主人公はこの息子と見合いで結婚するのだが、実は最初から母親のほうに惹かれている。わたしも惹かれる。いきなり呼び捨てにされて、主人公がかすかに喜びのような、浮かれるような気分を味わうところ、共感覚える。とくに油断しているわけでもないのに、川上弘美にはこういう、いきなりこちらの肝をひやっと生の指で触ってくるようなところがある。本貸してくれた姑は「わたしこんな姑ぜったいやだ」と言っていた。永遠に嫁目線なんだな。
けっきょく全編読んだ。下高井戸の飲み屋のカウンターで飲んでいるような錯覚おぼえる。となりのおじさんも、おばさんもみなストレンジャーなんだけども、他人との縁というか、血のつながりとはちがう連なり(横でなく縦の、世代を連ねるような)、みせてもらって、こどものいない私も、ちょっと嬉しいような、気がした。