日はまた昇る

yokkobukko2012-09-04

はた、と気づくと九月。
ようやく旅のブログを書き終えました。これ終わると、ほんとに旅が終わったと気がする。実感する。
旅行から帰ってきてから、ヘミングウェイの「日はまた昇る」を読んだ。はじめて読んだ。「移動祝祭日」は大好きだけど、これは読んでなかった。パンプロ―ナ、サンセバスチャン、今回訪れた町がでてくる。順番として正しかったかも。さきに読んでたら、ヘミングウェイばかりを探したくなっちゃったかも、だから。
おもしろかった。例によって食べ物、町、通り、店、ディテールがたのしい。どでか人形キリキさんもでてくる。

サンフェルミンのお祭りに登場する。
語り部のジェイクがいい。語り部として感情を抑制してる、というか隠しているんだけど、ニュートラルでなく、へんてこにねじれていて、はみだしてくる感情に、投げやりだったりする。ブレットとの友情についての考察、「ツケ」という発想とか、異物にぶち当たる感じがするんだけど、それはわたしが女性だからかもしれない。そこがものすごく興味深くて、ますますジェイクという人間にひかれてしまう。異物ありながら、結局はいちばんこのひとに共感するんだよな。
ホテルのオーナーもいい。闘牛への熱狂の精神をジェイクとふたりで語りあうところとかものすごく意味深でいい。去勢牛の役割とか、きっと現地でそういう話を聴いて、そこからぶわーっとアイデアが湧いたんじゃないかな。
よくできている。フィッツ・ジェラルドの強いすすめで最初数十ページ削ったというエピソードは有名で、そういや、そういう話どっかで読んだと思い出す。
それにしてもエンシエロ(囲い込み)で闘牛場に追い込まれた牛と闘牛士との闘いが、サンフェルミンのお祭りのメインなんだと、これ読んではじめて知った。
エンシエロ=牛追いがメインかと思ってた。小説ではそこがめちゃめちゃおもしろくそしてジェイクの居場所として描かれてるから、そこが世界じゅうに広まったのかな。でもメインディッシュともいえる闘牛士の話も非常におもしろく描かれているんだよな。切っても切り離せない、現象の表と裏。
日はまた昇る」は聖書からの引用。伝道の書。これまた・・・からくて、味が濃い。