バスの旅


エイバル行きのバスは、定刻一分前に発車。いいのか!それで。旅程は2時間。北西に向かって、ふたたびバスクへと出発。
エイバルは、ブエルタ第三ステージのゴール地。ここで昨日お別れしたプロトンを待つ。それがどんなとこか地図からはわからない。役所のHPで山間の避暑地であることはわかった。
バスク地方の山間(といっても海も遠くはない)には星のようにそうした避暑地が散らばっている。そういう町や村をめぐって走るそれがこの路線だ。一口に避暑地といっても中世の教会と一体化したような鄙びた村もあれば、洗練されたブティック立ち並ぶステーションと呼ぶような町もあり、ありようはさまざま。
  


とにかくアップダウン、急坂の切り返し、町に入ったら入ったで、坂道に立ち並ぶ別荘マンションのあいだを上ったり下ったり。気付いたら、車酔いしていた。こどものころはよくしたけどな。しかもパンプロ―ナ出てすぐにトイレ(小のほう)に行きたくなった。このバスにトイレはないし、この各駅停車ぶりからして、トイレ休憩などは存在しないタイプの運行パターン。
酔って気持ち悪いのに、通り過ぎていく避暑地の様子も気になって、林檎畑や、古い教会、急傾斜で落ちていく谷、その側道でのスリル満点の離合など、なんとかカメラにおさえようとがんばる。Bはもう一時間以上、爆睡中。
しかしこっちのバスの運転は荒い。〈かなちゅう〉バスもびっくりだ。というか〈かなちゅう〉はスペインで十分やっていけるだろう。乗車口と荷物置き場の扉が閉まりきってないのに、走り始める。しかも急発進。スーツケースが振り落とされやしないかと心配。

ところでけっこう客の乗り降りは頻繁。ふもとの町で買い出しして、山の上のほうにある別荘へ帰るひと。手ぶらで缶ビール半ダース持ち、谷ひとつぶんだけ乗ったひと。トレッキング姿のひと。我々のように大きなスーツケース携えた旅人など。
途中、日本によくある道の駅みたいなとこで小団体さんを乗せた。荷物を格納したり、料金払ったりに時間かかっている。見ると目の前に待望の!「トイレ行ってきていいすか?」とバス運ちゃんに訴えると、「オッケー」と笑顔。すっとんでいった、間に合った!体ほぐしながら、バス戻ろうとすると、動き出しいる。あ、方向転換かな、と思ったら、運ちゃんと目があった。あきらかにあっ!て顔して、ブレーキ。置いていかれるとこでした!ごめーんと運ちゃん。腹かかえている。自分のボケがツボに入ったらしい。方向転換してんのかと思ってた、とB。
ともかくトイレ行けてよかった。