そしてハビエル城

それにしてもこの熟年カップルの仲のいいこと。ほんと細かいひとつひとつの動作に旦那さんの奥さんへの愛を感じる。ときどきほんとになでなでしたりしている。ふたりはビトリア(ガステイス)在住で、週末旅行を楽しんでいるらしい。さっきのカフェの大将とのおしゃべりからしてこのあとレイレに行くんじゃないかな。
みんな知らないけどナバーラの主都はパンプロ―ナじゃなくてビトリアなのよ、とお国自慢。ほらあれブドウ(ワイン)畑、とか周辺事情をおしえてくれる。
ハビエル着いてからも、帰りのバスがあるかとか気にしてくれ、城まわりにある旅籠にまで入っていって、タクシーの電話番号をゲットしてくれる。なんと。そしてハビエル城の前までいっしょに来て、じゃ、ここでさよならね、などと言う。なんと、ほんとにただ送ってくれたんだなー。恒例の記念写真ののち、メールアドレスを交換。

ところでなんで我々を誘ってくれたかというと、旦那さんがひっひっと笑いながらおしえてくれた。君が「トゥリート」なんて注文するのがおかしくてね!・・・まったく・・・芸は身を助く、ならぬ、酒癖は身を助く、ですよ!!。
ハビエル城、フランシスコ・ザビエルが生まれた城ですが、それはなんというか、やけにさびしいところにあるのです。人里離れたはげ山のあいだ、かな。周りに集落の影はなく、ここで夜を迎えたら、どんなに心細いかと思う。狼とかに襲われないかとか。もとは城塞、もっと前は見張り塔だけの砦だったらしい。うーむ、ザビエル、こんなとこから、なんでまたあんな極東へ。ロヨラに誘われたらしいけど、親にしてみたら、なんだろう、へんな宗教入っちゃったーとかじゃないだろうか。
城の中はなんつかよくある学習型の博物館で、いまひとつ好みではなかった。ただし、塔の横の礼拝堂の側面に描かれた死の舞踏はやっぱり見ごたえあった。
隣の教会や、そのたたずまいはやはり心に残る風景になった。なによりあの見渡すかぎりのさびしさが。