海へ。


正午すぎると気温は40度近くまであがった。暑い。白い砂浜ですでに火傷しそう。長い長い砂浜を臨んでコンクリートの散歩道が続いている。よくできていて、その構造物の一層低い空間は日陰の通路になっていて、泳いで帰るひとが歩けるようになっているし、奥側には、シャワーとかトイレとか、スポーツジムとかなんとかテラピーの施設なんかが並んでいる。とても便利。砂浜はすごい人。「日本人はあんな満員電車よく我慢できますね?」とかいう西洋人よくいるけど、ここ、コンチャ海岸の人口密度は半端なく、まじで、その距離でよくガマンできますね、と訊きたくなる近さだ。若手女子のトップレス率も高い。女子同士で来て子たちはもしかしたら同性愛のひとかもしれない。ナンパ待ちかな、と思ってみてたけど、なんか取りつく島ないフンイキだし。男同士もそうかも。それにしてもフランス人多い。半分以上がフランス人という印象。しかも高校生くらいの子たちが多い。修学旅行?地元の人はここにこないのかもしれない。

わたしは泳げないので日陰のコンクリの通路の縁に坐って人間観察。Bはひとり果敢に大西洋に挑みにいった。最初、ひとりで泳ぐのはしのびないなんて言っていたのに、なかなか帰ってこない。波は高く、鎌倉の海より荒い。そのうちに満足したふうにBが帰ってきた。波に翻弄されたもよう。でもすごく楽しかったふう。
波打際を歩いて、湾の反対側の岬モンテ・イゲルド目ざす。この浜はよおく見ると大きな弓がふたつ並んだような形状をしている。真ん中にミラベル宮殿というのがあってここれで最初の浜辺がいったん切れる。W型のまんなかの山にあたる。

ここで岩にあたって大波がくだけるのを至近距離で撮影してたら、ざばーっと滝に打たれるみたいになって、カメラ壊れた。たはは。ミラマル宮殿、その名の通り、眺めのいい公園。宮殿は閉まっている。
続く浜辺は、コンチャ海岸とちょっと雰囲気がちがう。湘南と葉山の浜の空気がちがうのに似ている。こっちはファミリーな感じ。浜辺の端まで歩ききり、ケーブルカーで岬のてっぺんへ。うーむ、観光地。貝とか絵ハガキとか売ってる店が江の島っぽい。売店でビール買ってテラスで飲む。

どこ行ってもビールです。

ここからの風景は故郷の音戸の山から見下ろした海の風景に似ている・・・、どこへ行っても、なにを見ても、けっきょく自分の知っているもののほうへ寄せてしまう。だめっこなのか。それとも旅ってそういうものなのか。

山降りて、ふたたび来た道(波打ち際)を歩いて帰る。疲れた。往復どのくらい歩いたんだろう。宿でひとねむり。