コーヒー屋からしっぽり系へ

椎名誠の本がおもしろかった。椎名誠をわたしはずっとネイチャーなひととしか認識してなかった。シュールで都会的で80年代的で、ガロっぽくて詩情のあるマンガが分裂症っぽくておもしろくて、はまってしまう。ばらばらーっと散らばっていく思考が、刹那、同じ場所にあったよ、というような、はかなさ。これがあの色のくろい二の腕つねに出したおじさんのマンガなのか。中途半端でヘタレなとこ満載でいい。
夕暮れ。椎名本読んでたら和食(魚)食べたくなり、しっぽり系の割烹へ。静かで落ち着いた店。まだ五時半だっつうのに、すでに、やけに声のいい、渋いおじさんがひとり飲んでいた、あとで腹の出たキダタローみたいな濃い口の毒舌関西おやじが嫁同伴で飲みにきた。話がいかにもでおもしろかった。こういう若者のこない店あるんだな、この町にも、ってあたりまえか。バイトの女の子がひとり吉祥寺っぽかった。赤色エレジーか、つげの赤い花のヒロインみたいな顔をしている。