ミツバチの羽音と地球の回転

昨日話題になった映画。たまたま、たづくりで映画上映会があった。鎌仲ひとみ監督のドキュメンタリー。上関原発を建設したい中電と島の暮らしを守りたい祝島の島民との闘争を追った記録映画。きつい練習のあとだったし寝るかと思ったが寝なかった。島の暮らし、営みがていねいに撮ってある。ぶたを育てたり、びわを育てたり、漁をしたり、ひじきを獲ったりしているひとびとの顔と、はちまきを巻いてメガホンを持って闘争するひとびとの顔。同じひとがこんな顔をするんだ、こんな顔になるんだ!というような場面がたくさんでてくる。そういうのは祝島でなくても日常生活にはほんとにたくさんあって、自分だってそうで、そんなふうにいくつも顔を持ってて、自分でも整理つかずにがたぴしするんだけど、それをこう統合して、統合できないまでもなんとか自分として抱えてやってくというのが生きることともいえる。そういうひとりの人間の営みがぎっちりみっちり描かれていて、原発の行方がどうとかいうより、個人的には主人公のたかしくんにもう心が密着していった。鎌仲氏が平板なアクセントで「たかしくん」って呼ぶたびに緊張した。そう呼ばれるのかすかに抵抗あるふうに見えるんだよね。だとしたら鎌仲さんはわざとそれやってんのかなーと。恐ろしいクリエーターじゃのー。うーん、ドキュメンタリーってやっぱり好きだ。撮ってるひとが曲者だと、たまらん効果が生まれるから、そこが好き。
「たかしくん」は山口のひとだけど、表面のぶすっとしたとこが広島のひとに通じる。会社にいた先輩とか思い出した。
方言が近いせいか、里帰りしたような気分にもなりました。