自転車のない月曜日

yokkobukko2011-05-23

ジロはお休み。コース発表時から話題騒然だった超超山岳ステージ三連戦、結局、コンタがめっちゃ強かった〜ですこし白け気味に。途中、あまりの強さに(まあ、いろいろ文脈あったけど)ブーイングまで起こる始末。カリフォルニアは不仲説あったホーナーとライプハイマーがお手手をつないでゴール、というような。四十前のおっさんだし、双子みたいだし。うーん、マニアックな。ちょっとzoo。そういえば、こないだエスカルゴ食べてるときに「zoo思い出すね」って言ったらBに怒られた。
週末に河瀬直美の「玄牝」見た。おもしろかった。最近見た映画でいちばんおもしろかった。歳とったからではなかろうが、ドキュメンタリーが、だんだん好きになる。
自然分娩にこだわる産科医のおっちゃん(その世界ではカリスマみたいなひとらしいが、見た目はなんつの、カンフー映画の師匠みたいな、いかにもすぎる陶芸の先生とか、そういういかにもルックスのおっちゃん、おっちゃんだろ、あれは)と彼をサポートする助産婦たちと、彼のもとに集まる妊婦たちとをゆっくり時間かけて追った映画。それぞれの関係はシンプルだけど、みんなの声はえらく多声で、彼をあがめるひと、あがめられないひと、声の大きなひと、小さなひと……がまあ一生懸命話している。とりわけ小さな声たちにはニュアンスがあって、耳をそばだてて聴く。おもしろかった。妊婦さん相手にはなぜか声のでかいおっちゃんが、すごく静かな声で話すときがあって、それが、またなんか、味わいだった。この声が撮れて、はじめて映画は映画になるんだろう。
たぶん、わたしは落ち着きがなくて、ひとの話が聴けないんだけど、ひとの話が聴きたいんだよね、ほんとは。こういうドキュメンタリーが好きなのはようやく聴こえたよ、ひとの声が、という実感があるからだと思う。
ところで、この日この回は、あんしん上映会とかいうもので、会場の半分はむしろに座布団敷きのスペースになってて、こども同伴のご家族いっぱいきていた。それぞれの乳幼児が、ばらっばらに叫んだり、はいはいしたり、ぱたぱた走ってスクリーン横切ったりするのがおもしろくて、こういう雑然としたほどけた空気のなかにスクリーンがあるというのも悪くないな、と思った。ところが、出産シーンだったか(出産シーンは何度もあったのに、そのときだけ)、そういうこどもが動きをぱたっとやめ、しーんとなったことがあった。最後に音楽が流れたときもしーんとなってた。なんだ、犬笛か?これも興味深かった。妊娠経験も出産経験もないせいもあるかと思うけど、映画に出てくるあまりにナイーブな妊婦さんたちにはドン引きしたけど、あそこにいたお母さんたちはどんなふうに思って見てたんだろうか。興味深いよ。