宇都宮クリテリウム

逃げるフミ

昼まで仕事。Bの仕事あがるの待って駅へ直行。宇都宮へ。いそいでないなら在来線だけど、今日は大宮で新幹線に乗り換える。2時半着。クリテリウムスタートは3時半。一時間も早く着いてしまった、けれど、沿道にはすでにフェンス張られ、場所取りも徐々にされつつある。
コースは駅前の大通り。三時少し前から、パトカーが巡回しながら通行車両を制限していき、三時、規制開始。五分もすると大通りは完全、がらんとなる。
クリテリウムというのは、ロードレースのひとつの種類というか、まあ通称のようなものかな(厳密な規定があるかどうかはしらない)、競技場以外の専用サーキット以外の場所をサーキットにして何周も走るレースのことで(モナコのカーレースみたいな)、ヨーロッパではわりとよく見られるレース。比較的距離が短く、そのせいで熾烈で濃密なレースが展開されるし、それが普通の公道で、ブティックの目の前で、もしかしたら我が家の目の前で行われるし、同じところでただ待っていれば何度でも選手が見れるし、イレギュラーな展開、あるいは事故を目撃するかもしれないし、巻き込まれるかもしれないしで沿道は異常に盛り上がる。
ただシーズン中には過酷なレース展開になるけど、ちょうどいまごろのシーズンオフにはシーズンで大活躍した選手なんかをゲストで呼んで、本気なんだかお祭りなんだかよくわからない、ゆるーい出来レースが行われるのも常。しかもテレビなんかで見てると、おんなじとこぐるぐる回ってるせいか、こう中だるみしてきて、最終回までぼんやりということよくある。だもんで、相当に油断していたのです。途中まで、あるいは途中くらいから観戦でいんじゃねーくらいに。
初体験だった。免疫なしに完全に魅了されました。そもそも宇都宮のこのジャパンカップでもこれが初回の試みだったらしい。もしかすると日本ではじめての試みだったのかもしれない。歴史動いた、そのとき、を見ちゃったかもしれん。
街じゅうが興奮して、震える。それが駅前の大通りだってだけで興奮する、なんかものすごくいけないことが行われている感じが!そしてあたりまえなんだけど、目の前を何度も選手が走り抜ける。それだけのことがこんなに楽しいのかと知る。レース全体が把握しやすい。あと距離がちかい。こっちは普通に応援のつもりで声をかける、それが届いて選手がぶるりと震えるのが見える、この距離にも異常に興奮した。あきらかに沿道の熱が、選手に伝わっていて、感染して、お遊びレースの予定調和が崩れるのがわかる。
フミのスタートダッシュからの逃げも、最初はもしかして半分冗談、去年のツールの自己パロディみたいなつもりだったのかもしれないけど、集団ヒステリーのポジティブバージョンというか、もうやめられない感じになってしまった。
片山右京が走ってるのにも興奮したなー、別の意味で。大丈夫か、ひとさまに迷惑かけてないか、という田舎の親心的な。
優勝はドラパック(オーストラリアのお兄ちゃんたちチーム)のパルマー。
最終回、目の前を先頭で駆け抜けたのはラーションだったけど、あとは風、もう誰が誰だかはわからない。
レース実況はあったけど、沿道のスピーカー、町内会のお知らせするやつで声割れてぜんぜん内容聞こえず、ゴールも見えなかった。そもそもわれわれの周りの観衆はレース終わったことに気づいてなかった。終わったの?誰が勝ったの、と情報がゴール地点から波のように伝わってくる。ちょっとまぬけでおかしい。
レース後、オリオン通りの野外ステージで表彰式とか、トークショーとか見て、そのままチームプレゼンテーションみて、去年のこととか、去年もやっぱり月が出てたなーとか、もっと寒かったなーとか思い出す。夕飯は餃子!