オタン→アヴァロン→パリ

時刻通り、オタンを発つ。
アヴァロンまで二時間。ずっと続いていたモルヴァンのなだらかな緑の牧場の様相がすこし変わってきたかな、というころアヴァロンだ。なにしろ8分しかないから、駅着いたら窓口にダッシュ、なんとか係員をつかまえなければ。ところがふたつくらい前の駅から電車が4、5分遅れている。間に合わなかったら、次の電車だが、それだとパリに着くのは夜中になる。5分遅れでアヴァロン着。迎えのホームにパリ行きの電車が停車している。小雨降るプラットフォームに飛び出し、ダッシュしたところで、うしろから「自転車?自転車?」と声が聞こえる。見ると若いお兄さんが鍵持って待っている。説明もいらない。こっち、と倉庫を開けてくれる。
こっちはあせって自転車の鍵を外しにかかるが、お兄さんは「急がなくても大丈夫だから」と言ってくれる。そういう話になっているのかな?とりあえず、簡単にものすごく簡単にお礼言い残し、パリ行き電車に飛び乗る。出発時間は過ぎている。大急ぎで自転車をひっかけ、席に着いてほっとする。

が、いっこうに発車のきざしなし、不思議、ならさっきのお兄さんにお礼の菓子包みでも、とリュックの中の土産ものを頭で思い浮かべるが、うちとこの名産をもらって嬉しいだろうか?それより、ちゃんと申し送りしておいてくれたあのおじさんにお礼の伝言をなんて迷っているうちに列車が動きだす。日本帰ったら、礼状書こう。
パリまでは二時間半。
けっこう長い。モルヴァンよりはもっと平面に近いなだらかな丘や、だらっと広がる田園を森が囲む川の風景を眺めるうち熟睡。午後8時前にベルシー着。パリは晴れている。まだ夕暮れまでにも時間がある。自転車にライトも要らない(けっきょく使わなかった)。リヨン駅を過ぎ、オーステルリッツの橋を渡り、セーヌ河岸に降りて、すこし川辺を走る。夕暮れのセーヌ、遠くにノートルダム、パリだなー。道の選択でBと仲間われしながらもなんとかホテルへ到着。また前回と同じように地下の会議室に自転車を置かせてもらう。二度目なのでスムーズ。部屋はこないだの隣。ちょっとずつ意匠が異なっているのがおもしろい。