大分へ

yokkobukko2010-05-02

高校時代の恩師の終の棲家を訪ねるのに大分へ。先生のうちのある杵築は大分空港と別府温泉のあいだ、海を望む静かな丘に建つ。前々からやってみたかった自転車の輪行を試みる。分解して専用の袋で運搬し、走りたいところで組み立てる。言うは易し。組み立てはまだしも、分解が難儀(らしい、最初は主にBがやった)。空港まで車で迎えにきてくれたY先生との積もる話はまたあとにして、とりあえずあっさりと土産を渡し、簡単な道順を聴き、荷物を減らしてとりあえず20キロほど離れた先生宅まで走る。海沿いの気持ちのよいサイクリング。一時間ちょっと。リタイアしたひとたちのための小さな集落へ。意外と最後、アップダウンきつかった。たどりついたおうちは、夫婦ふたりが暮らすのにちょうどいいこじんまりとした木造の家。こじんまりした玄関横に駐車場と小さいお庭。中入るとちょっと旅館みたい。入口入って左に仕事場らしき部屋があって、まん中に作業机がおかれている。山側に向かって窓が開き、外に山百合が見える。右手奥にむかって狭まりながらも小さなスペースがあり、小上がりがある。窓の向こうは海。玄関もどって廊下つきあたると梁が立派な居間、くっついてダイニングキッチンがある。やっぱり小上がりみたいに和室がついている。一間だけある客間は二階で、和室の大きな窓からは大きな海が見える。天窓もあって明るい、明るいけど静かで、死角も多いうえ、そこここに椅子が置いてあって落ち着く。よくよく考えて設計されている。一階テラスの向こうは海、すぐ下はゆるやかな斜面で、視界のじゃまにならぬよう雑木林はよく手入れされている。海にくだるように小路があって、庭道具が置いてあったりして、生活のいろんな時間が見えてきて、いかにも先生らしくていいなあと思う。汗だくなんでまずは風呂に招ばれるが、温泉、しかも海が見える。窓開けると海の匂いがする。こんなとこ住んでたらもう旅行なんてしなくていいんじゃないか。
昼も夜も先生の料理。晴れの料理でなく、豪華でもなく、堅実な生活の味。心のこもった食べ物ばかりで、薬味ひとつとっても、ネギと生姜のありようみるだけでも、ものすごく歓待されているのわかる。関あじの刺身も旨かったし、ベランダに干してあった、先生が昨日開いたという鯛も旨かった。おかしかったのは、「三日干しと一夜干しどっちがいい?」と聞かれ、「じゃ、三日干し」といったら却下された、でも三日干しってめずらしくないっすか。
Y先生の奥さんはいつのまにかリンパ系のマッサージのプロになっていた(一方、先生はエロ小説を書いているらしい)。Bと交代でマッサージを施術してもらった。かなり痛かったし、なぜかメンタルな点を攻めてくるので、つらかったが、ああいうのは漢方や東洋医学の流れなんでしょうが、終わったあとは、ほわほわした。
先生とは昼飯からだらだら話はじめて、いったん休憩入れて晩飯でもディープに話しこみ、どんどん痛いほう痛いほうへふたりして行ってしまった。似たもの同士のとこがあって、おたがいデリカシー欠けているわりに、気にするほうなので、つらかったが、ひさびさにひとと話をした気がした。噛みあうとか噛みあわない以前に、最近構えているからなあ、わたし。しかしつかれました。
Bと奥さんはふたりを放置して、マッサージしたりされたりしながら、口を挟むでもなく静かに横目でこちらを窺っていたらしい。