富士三日目 後編

1時ころ白糸の滝出発。ここからしばらくはコンビニもなんもないから、トイレに行っておこう。リュックに搭載(おおげさ)されてる雨具をはじめて活用。しかし雨はすぐに上がる。杉の木立のあいだをひた走る72号はまさに森閑。しかし坂が多い。主に上り。道も悪い。しかも雨あがりということもあり、慎重に、淡々と。突如あらわれる奇石博物館でトイレ休憩。突如。
 車もいっぱい、こどももいっぱい、恐竜もいたりする。
ここから、今日の宿のある十里木高原までが、長い長い今日の難所でした。道の悪い72号をがまんしてしばらく走ると、いきなり視界開け、469号に出る。ゆるいゆるい果てない上り。右手はるか下方に富士宮の町、左手に富士山は見えません。最初の数キロは広い状態の良い道路。のんびり行ってるつもりなんだけど、つい力入ってしまう。たぶん視界が広すぎるんだろう。途中通過した集落で、自宅の前に立ってたおじさんから「がんばれ、がんばれ」と激励される。いや、もう限界なんす。しかし精神までヘタレな我々「とにかくおじさんから見えなくなるとこまで走ろう」と、ガス欠の体空吹きして村はずれまで走る。この道ではサイクラーによく会いました。ここですれ違ったのはみな本気ライダー。峠攻めを喜びとしているひとびと。しかしこんなヘタレな我々にもみな敬意を示してくれている模様で、いつも目で励まし、「こんちは」と一声かけていってくれる。なかには「もうだめ?」と口ぱくぱくさせて聞いてくれるひとも。なんか仲間意識。うれしい。
結局なんど休憩したかわからない。ときどき現れるこどもの国のアルパカの看板、いいかげん、ほんとの入り口出ないのか!と腹たってくるほど規模大きい。もうだめもうだめ言いながら、仲間われもあったりして、そのたびアメを舐めた。
でました。サファリパークの看板。そろそろ今日のお宿です。宿近くで迷って地図ひろげてたら、うしろからさっき我々を抜いていったはずの自転車お兄さんやってきて、先へ進んでいく。お兄さんもどこかで休んでたのか。そだよね、と思ってたら反対車線をさっき我々をぶち抜いてった本気ライダーが。どこまで行ってUターンしてきたんだろ、まさか御殿場じゃないよね。ひとそれぞれのペースなんですね。自転車。我々は今日はここでおしまいです。
ちょっとファンシーな名前のペンションだけど、中は意外と地に足の着いた感じのシンプルな宿です。部屋にはベッドと手洗いシンクだけ。清潔で真っ白なぱりっとしたシーツ、うれしい。さっそくウェアと下着を洗って干す。風呂。まだ4時だがもう腹ペコです。お散歩いこうかと思ったら雨本降りに。なんとか助かったってことかな。
宿の食堂でビールとチーズ。
Bはこけももジュースと自家製ケーキ。ここもまんが充実してました。この日はいがらしみきおの初期ギャグマンガ「ネ暗トピア」。ぼのぼのと違和感ない。変態といえば変態だけど、あえてそこを、というような狭く細かいとこを執拗にこさげるような。おもしろい。けどつかれた。
窓の向こうは霧。屋根からひたひた雨つぶ落ちている。夕飯、案の定、チーズが効いて、少し苦しかった。その後、爆睡。薄い壁のむこうから聞こえてくる隣室のお父さんとこどもの対「インディジョーンズ」のナイスリアクションがほほえましい。いい夢見れそうです。