第五ステージ

いつのまにか風景が変わっている。昨日まで湿気た感じの欧州だったのに。テレビつけると一級山岳はすでに越えている。最後の三級のくだりに入るあたり。石灰質の岩盤をむきだしにした巨大な山岳の中腹。ところどころに潅木(香りの強そうなハーブのたぐい)をはりつけた岩盤が切り立っている。はしっこをちょこっと削りのこしただけの縁石のむこうはいきなり深い谷。その底にたたえらえた翡翠色の水面はじっと動かない。たまにひらめくように見えるのは、鳥の影だったり、自転車の影だったり。美しいけど、この世とは思えぬ。奇観です。地獄というには美しすぎるけど。退き画だとスケールでかすぎて、みんなどこにいるんかしらん、という。よおくみると、カーテンのようにうねる崖のはるかに下方、切り通しのあいだにちらほらと豆粒のようなプロトンが。うわあ観光ビデオみたいねとかいってるうちに、気が遠くなり、途中Bが叫びだす波乱もなく、はっと気付くとフランスの若造(ロワ)がゴール。総合争いは嵐の前の・・・(でも意外とボディに入ってんのかな、疲労が、シャバネルとか)。わたし的にはいい休養日だった(クールダウン)。あれが有名なアルデシュの峡谷だったのかな。