たまに読み終わる本

yokkobukko2008-09-22

姑に、ともだちが最近高橋たか子を読んでいるという話をしたら、はっとしたような嬉しそうな顔になって、自分も一時期その作家に執着し、集中的に読んだのだと興奮した声で言う。「そのころ持っていた本はみな手放したのだけど、これだけは手元に残してしまった」という本をわざわざ二階に持ってきてくれたので、その勢いで一気に読む。「空の果てまで」。初期の作品。いろいろ思うことあるが、まずはがつっと生木で殴られた感じ。それも正面から。この本を手元に残したときの姑の心境などに思い馳せる。
なかに重要な役回りをする、猫連れのばあさんが出てくるのだが、この人物がいなかったら、この本、なんなんだ、ときっと思ったろう。少なくともわたしはこの本を通り抜けられなかったと思う。主要な三人の女性はみな同じ波長上にあり、ほかは陽炎のような幽霊のような人々ばかりだが、このばあさんだけはしっかり居る。救いとして居るわけでは絶対にないんだけど、ある意味で世界に、エゴイズムに穴を開けている。このばあさんが書けたってことは、やっぱりこの小説は成功しているんだろう。作者はのちにカトリックに改宗する。後の作品も読んでみたいな。
それにしても読みかけの本が多い。読みかけの本だけで図書館ができそう。あ、これ読みかけだった、あ、これも、と隣の本、隣の本へと気が散っていく永遠の中途半端。表層の放浪。あああ、ストレス。