公団のマンボ

夕刻、カレー食べた帰り道、バス降りたらいきなり重厚なホーンの音。マンボ? 近所の公団のお祭りかな。公団の商店街奥に設置された小さな舞台は紅白の幕が張られ、ずらずらと赤提灯で飾られている。その赤く光る小さな箱にびっちり、いや、ぎっちり二十人ほどの編成のビッグバンドがおわす。迫力のミュージックボックス。観客は公団の住人。こどももおとなも。ビールやらアイスやら片手に談笑している。空気はとてもなごやかだけれども、演奏だけはぴりっとしている。こうやって地方のお祭りをまわっているのかな。しゃべりもこなれている。歌手もひとりいる。七十歳くらいの白髪のおじさん。声量ゆたか。プロだろうなこれは。用意された椅子に空きはなく、少し離れた壊れかけのベンチに腰を下ろす。商店街に過剰に反響するナッキンコール。なんでこんなにぴったりなんだろ。「ビコーズ・オブ・ユー」「トゥー・ヤング」のメドレー。遠雷で空は不穏に閃いているし。花様年華の世界でもあり。こういうの好きだな。