シロスの村

10時にいちおう回廊入り口を見にいく。やっぱ休みだ。入り口の前に広い空間があって、ぽかぽかと気持ちよいので寝転がったりする。
 
回廊に締め出しくらってるのはわたしたちだけではない。あとからあとから入り口の看板を見に来るひとが絶えない。どのくらい寝てたのか、暖かくもなってきて、ホテルに戻る。Bちゃんは洗濯。わたしはホテルの前に出されたテーブルで日を浴びながら、ガイドブックを読んだり、手紙を書いたり。のんびりしてるなあ。しかしすでにサングラスなしではいられない眩しさなのだった。
 
時間になり昼のミサに行くと、なんかすごい人。どこから湧いてでたのだろう。ローマ式バジリックのがらんとした教会の中央ニ列はもちろん、左右の二列の長椅子もほぼいっぱい。そのうちに立って参列する人々も。さすが祝日。マリアの日。ミサのはじまりもなんか格式が高い。後ろからぞろりぞろり、行列になってやってくる聖職者たち。たぶん階層にそって並んでいるんだろう。なかに立派な衣を着てあのくるんと先の曲がった杖をもったおじいさんがやってくる。司教さんか、大司教さんか、それとももっとえらいひとなのだろうか。ミサでももちろんたくさんの聖歌が歌われる。でも今度こそ、わたしたちはほんとうに場違い。立ったり坐ったり、お辞儀したりも忙しい。大司教さんがとんがった帽子(ミトラというやつか?)を脱いだりかぶったりする仰々しい儀式を眺めながら、ヒエラルキーや戒律と信仰それ自体との関係を考えてしまう。こういう縦の厳しい組織があってはじめて、古えよりの伝承である、聖歌もまた生き残ってきたのだろう。そうかな、どうかな。ちょっと、わからない。ただ、聖歌はありがたい感じがする。聖体拝領のあたりになると、もう頭のなかでいろんな考えがとぐろを巻き始める。
ミサ終わって、ほっとして外に出る。さっきも坐ったホテル前のテーブルに腰を下ろし、ビールを注文。腹減ったよ。バル用のメニューにあるプレートNo.1、No.2を頼む。サーロインステーキとブタの酒漬け焼きにサラダが付く。
  シンプルでとてもおいしい
給仕さんたち(といってもみなホテルの従業員、さっきは部屋を掃除していた)みな、なんか忙しそうだし、現金もないから、代金はホテルの勘定に付けておいてもらうことに。そのままぶらぶらと村はずれにつづく坂道をてっぺんまで上る。てっぺんまでくるといくつかの道が合流し丘の向こうへとくだっている。道しるべには、サンチャゴ・デ・コンポステラへと示してあるが、どうだろう、ふつうの巡礼路からはだいぶ外れている気もする。