孤独のグルメ

オリンピック始まりました。
友人Fさんの東京の旅は初日から忙しい。羽田→赤羽→浅草→自由が丘→多摩。おおよそ中心地を避けたこの周縁っぷり(まあ、浅草はどうだろうか微妙だけど、Fさん間違えて浅草橋で電車降り、そこから浅草まで歩いたらしい、この炎天下)。なんでそんなとこにわざわざ?その理由がコレ。家にも一冊あるからと、文庫本のほうを手土産として呉れた。
 
泉昌之は好きで前はけっこう読んだけど、久住昌之谷口ジローの合作(谷口昌之ではないんだな)なんてあったんだな。フリーの輸入雑貨商である主人公の飯日記のようなもの。だいたい一話で一ヶ所、実在の飯屋がときに仮名で取り上げられる。少し読んで、非常なる違和感覚える。食べ物へのアプローチが泉昌之とまんま同じなだけに、谷口キャラのありかたを、笑っていいのか、笑うのはなんかちがうのか、読者としてもどこかしら居心地が悪い。久住ワールドと谷口ジロー、相性悪いな、と最初は思うんだけど、中ごろ、大阪中津のたこやきあたりから、そうか、これでいいんだと納得する。融合しきれてない残ったゾーンが旨みなんだな。考えてみれば、泉昌之だって「ずれ」を楽しむマンガだったのに、なんかもうすっかりそれが看板になっちゃって、違和感覚えなくなってたんだ(いや、でもあれは最初からパロディ狙いだったんだから、いいのか)。谷口キャラって読者への媚がない。なるほど孤独。そっか、孤独かー。書かれたものではあまりお目にかからないけど、女性だって、こんなふうにひとり頭の中で考えをめぐらせながら、飯を食うんだけどな。歌があるな。「ラーメン食べたい」。やっぱちょっとちがうか。