パリ、ジュテーム(途中から)

また映画を途中から見た。といってもオムニバスで、全部で18本あったらしいが、何本見たんだろう。それぞれの物語は、パリのそれぞれの区(といっても18区まで)を舞台にしている。最後の話がよかったな。アメリカかどっかのキャロルっておばちゃんが書いたパリ旅行の作文。フランスに憧れて、フランス語を勉強してきたキャロルさんは、こつこつとお金貯めて、念願のパリ旅行にやってきた。独身だが、犬を二匹残してきたので、一週間のみの短い逗留だ。ただただ、このおばちゃんのたどたどしいフランス語にのせて、そのぎこちない旅のひとこまひとこまが展開する映画。どこまでも表層的な、というか表層をさすらうほかないおばさんの視線を通した描写。これが意外と、すとんすとんとこちらの懐、奥深いところに落ちていく。結末の「それ」の到来などは、なんだ、やっぱり、なんだか知ってたよ、というような「それ」で、染み入りました。
ほかに印象に残ったのは、ドパルデューのでてくる、やはり終わりのほうの映画。熟年というより、もはや老年の夫婦の、長かったらしき別居の果て、離婚に至る、道きわまって、そこへ至るという場面をクローズアップした映画。迫力あるおばさんだと思ったらジーナ・ローランズだったのか。噛み応えのある、なんかじわーと塩味の効いてくる数分だったな。