オペラ篇


オペラなんか観たことないくせに、いきなりウィーン国立オペラ座ですか!?
演目は「死の都市」。いちおう原作は読んできた。ローデンバックはじめて読んだが、しかし、いままでどうして知らなかったのか。なかなかどうして読ませます。ブルージュという古都を舞台に、亡き妻の面影に執着する男が、妻に似た女と出会い恋愛するが、それに妻の面影を重ねれば重ねるほど、大事な面影も、新しい女も失われていくという物語。粗筋だけ追うと、なにかロマンチックなんだけれども、徹底した自家中毒的語りが、もっと色とりどりの解釈を誘う。ブルージュという町も単に物語の舞台ではなく、横糸か縦糸か、とにかく語りの地に深く織り込まれていて、置き換え不可能なつくりになっている。
オペラ作者のコルンゴルトの解釈は徹底して教訓的かな。ふたつの地獄があるとする「忘却」か「非忘却が引き起こすデフォルメによる破壊」か。どっちがましかな、という話かな。最後のほうでとても印象的な台詞があったんだけど「リアリティのある夢が、欲望の夢を破壊した」だったかな。ものすごくうろおぼえだから図書館ででも調べてみよう。