祇園の夜

5時、閉館ですと追い出され、友人とBとふらふらと水の流れにそって歩く。ほかにも歩いているひとたくさんいた。川っていつも導いてる。たどってみたくなるのです、わたし。その川は白川で、たどりたどって祇園まで歩く。川を臨むこじゃれた店に入ろうと橋さがす途中で見つけた、川から小路のぶんだけ距離を置いた、こんな川近いのに見ようともしないすりガラスがらりと開けたら、中、うなぎの寝床みたいな、愛想少なめの女将のきりもりする焼き鳥屋に吸い込まれる。
旨い店でした。そして値段もリーズナブル。女将愛想少なめという点でもうすでに、わたしとBがひそかに旨い店の重要条件にあげている、なにかちょっとしたマイナスポイントがあるというのを満たしているので、なんかもう最初から安心。〆のまご丼(挽肉の親子丼)の味わいはもうこのさき夢に見そうです。
ぽくぽく歩いて、鴨川渡り築地というクラシック喫茶へ。爆睡するBを放置して、たくさんおしゃべり。クラシック喫茶であることから、マタイ受難曲へ、そして雅歌へ、あがないの話へと展開。
いつものようにBがぶわわっと目覚め、そろそろ遅い時間ですねとお開き。なぜだか、さびしさの少ない別れができた。