TDF 個人TT

サインだ、生メッセージだ

こんなにコンタが苦しむとは!
死の淵からよみがえってきたひとってのは、ランスにしろ、そうだけど、地位と名誉と意地の戦いから、嫉妬とかひがみとか絡む人間臭いがむしゃらな戦いから、一歩退いてるように、超然としているように見える。もっと本質的な戦いをしているというか。実際、厳しい勝負の世界の頂点でのしのぎあいに、精神的プレッシャーで押しつぶされる選手がたくさんいるなか、コンタやランスは比較的しゃんとしている場合が多い。
そのコンタが!去年のランスとの確執、ひいてはチームとの確執のなかでも、あれほど崩れなかったコンタが!今日はどうした!という崩れよう。アンディの破れかぶれのゆさぶり(前半の死に物狂いのハイペース)になのか、向かい風になのか、それとも自分になのか、めちゃめちゃ揺れているように見えた。実際、あんなにTT遅いコンタはじめて見た。まさか自転車のせいじゃないよなー(トレックから変わっていまひとつ伸びてないんだよねタイム。スペシャライズドTTB開発部のひとは、とくにコンタ組のひとは気が気じゃなかったろうなあ、昨日ばかりはコンタに勝ってほしかったんじゃないかな)。
結果的にはアンディ後半力尽き、コンタ31秒差で勝った。総合は39秒差。奇しくも、この秒差は、メカトラでアンディが失った差だという・・・コンタは意地でもそこにこだわったはず。利息は払えなかったけど、負債は返した、というような。そしてあの涙。あんなよろよろでぼろぼろのコンタはじめて見た。でもはじめて勝負らしい勝負をして、人間の世界の勝負をして、優勝したコンタの姿だと思った。いままでは棚ぼたか、まるでひとり相撲かだった。ライバルいたほうが断然いい。きれいな勝ちじゃない、泥臭い勝ちだけど、美味いんじゃないかな、その味は。
そして終わった、一年あんなに楽しみにしていた大イベントが。脱力するわ。さびしいわなー。