レトリックとは別に

秋葉原で無差別殺人があったあと、ニュースで、大怪我をして助かった人が「犯人はかわいそうなひとだ」と言うのを聴き、被害者の心境は、凄まじいところにあるんだ、という実感と、まったく共感できないのに、受け取るしかない、厳然とそこにあるその言葉にショックを受けた。そしてそれはしぶとく頭にこびりついて流れていかない。自分を殺そうとしたひとをどうしてかわいそうだと思えるのか、そして、なにがかわいそうなのか、ずっと考えている。銭ゲバの初回、主人公に殺される田口トモロヲが絶命する寸前に「おまえかわいそうだな」と言うのを見て、岡田さんも同じことずっと考えてたんじゃないか、と思った。前にエンケンが世の中で起こる事件の犯人はすべてオレだと思っている。オレのなかにもそいつはいるんだと思っている、と言っていた。しんどいことをするひとなんだよエンケンは。なんかすごいと思ったんだ。うまくいえん。岡田さん、まさかそれも聴いてたんじゃないか、と電波っぽいことを考えてしまう。