世界選手権

自転車世界選手権、エリートロード。
イタリアチームのひとり劇というか、浪花節というか、もう泣ける脚本だった。引退を発表した昨年の王者ベッティーニの、最後のレースということで、もうレースの内外ともに、イタリアチームは命がけで彼に花道を用意するんだろう、みたいな共通認識が漂うなか、結局きれいにその裏をかいたのはベッティーニ自身、なんじゃないかな。強豪をひきつけるだけひきつけて沈んだ。ブエルタで世界チャンピオンの証である虹のジャージに仲間のためにお水をいっぱい搭載して走っていた彼の姿を思い出す(って、再放送で見てるから昨日とか一昨日とかそんなんだけど)。あのとき、もう引退考えてたんだろな。そして、こう王者として花を持たせて送ってもらうより、若い奴らの背中を押して、羽ばたかせるほうがずっと粋だし、なによりすっごい嬉しいことじゃないか、という、そういうひとなんだろう。「えっ?いかないの?」彼をマークしていた連中も、きれいにはめられて、脱帽だったろう。「やられたぜ、おやじ」とみな彼と握手をしていた。そしてゴールでガッツポーズ。しぶいじゃないですか。かっこいい。