いざシロスへ

yokkobukko2008-08-14

疲れていても早朝3時には目が覚める。これはいつものこと。がんばってもう少し眠り、4時くらいから朝を待つ。朝風呂。朝食は8時から。ひとり10ユーロ。ビュッフェ形式。ハム、パン、卵、フルーツ、ジュースまですべてがバラエティに富んでいる。これで10ユーロなら安いかも。チュロスとかいうものが意外と甘くなくて旨い。
マドリッド市のマークの入った下水蓋
今日は長距離バスで遥か北、ブルゴスへ、そこからまたバスで、最終的にサント・ドミンゴ・デ・シロスを目指す。10時過ぎホテルチェックアウトし、時間割ないので、とりあえずバスターミナルへ。ちょうど11時のブルゴス行があるが、切符売り場の窓口には長蛇の列。次のバスは13時。シロス行のバスはたぶん一日一本で、夕方5時前後ということだから、なるべく11時のバスに乗りたいが・・・ヨーロッパでは、なんつーか、長い行列を見たら諦めるしかない。とりあえずBちゃんと二手に分かれて列に並ぶ。そうこうするうちに出発時間の5分前、もう無理だろ。わたしのすぐ前の若者が国際人で、英・仏・西トリリンガルだった。仏語でいろいろ話しているうちに、自分もブルゴスに行くのだが、急いでいるならお先にどうぞとかいう、それどころか前の人に順番を替わってもらえば?などと言いながら、前の人に頼んでくれたりもする。なんでこのひとこんないい人なんだ。結局、前の人もブルゴスに行く人で、替わってはもらえなかったが、なんとか11時寸前に切符を買うことはできた(ふたりで32ユーロくらいだったか)。お兄ちゃん、ありがとう。っで猛ダッシュで乗り場へ!といきたかったが、案の定、迷ってしまう。おお11時過ぎてるし、おろおろ、してたらまた、別のお兄さんが助けてくれる。結局、バス停でも乗客がたむろしており、荷物の積み込みもまだだし、わたしたちのあとからも、乗客が到着する。結局バスが出発したのは11時半くらい。まあ、なんつーか、それがヨーロッパ、やっぱり。
旅程は3時間。なんかトイレ行きたいが我慢。マドリッドを出ると、すぐに荒野が広がる。カッパドキアのような奇岩でできた岩山を過ぎると、あとはもう、ただただ荒野が続く。
   
よおく見ると、牧草地なのかもしれないが、牧草はすでに刈り込まれ、黄色い荒地がゆるやかにゆるやかに果てまでうねっている。ときどき四角く固められた牧草がブロックのように積んである。あいだに潅木がぽつぽつと散らばる。空が遠いなあ。途中、山火事跡を通過したりして、なんだか寒々しい気分になる。「はるか〜草原を、ひとつかみの雲が、果てもなくただよい、飛んでいく、山もなく、谷もなくなにも〜見えはしない〜」このメロディが頭をめぐって、出て行かない。寂しくなって隣を見るとBちゃん爆睡。平和だねえ。
2時半ころブルゴス到着。シロス行のバスはやはり一日一往復あるのみ。キヨスクのおっさん曰く受付は5分前にならないと開かないらしい。コインロッカーに荷物預けて時間まで観光。バスセンターを出て歩きはじめるとすぐに旧市街への門が現れる。
    
そのむこうにもう大聖堂が見えている。っつうかもう街のどこからだってそれは見えるのだ、そのぐらい・・・でかい。そしてごてついている。ゴシックで、スペインで、もう、もう、すごく、ごてついている。パリのノートルダムもだけど、こっちもかなりまがまがしい外観だ。近づく。おおお、ごてごてが、ごてごてが(ってうるさい)。造形に文句ばっかり言いながらも、聖堂前の広場のバルでかぶりつきで昼飯とる。ふたりで赤ピーマンの肉詰めとミックスサラダ、海老の鉄板焼き分け合う。ビール旨い。観光地によくあるかわいい汽車が停まっている。乗りたいなあ。食後は聖堂の外を一周。まあ、入ってみようじゃないかと軽い気持ちで入場する。ところが街か、これ街か、ってくらい広い。最初はいちいちごてついてるバロック彫刻なんかを見ていたが、だんだんバスの時間も迫ってきてあせる。さっき見かけたキャッシュディスペンサーで現金も下ろさなきゃなあ、なんて思いながら駆け足に、ところが終わらない。salida出口をもとめて回廊を走る。ううう、どこもかしこもごてついている・・・・また来るから〜といいながらバスセンターに走る。
あ、お金下ろすの忘れた。シロスはブルゴスから60キロ。バスで一時間くらい(ひとり5ユーロ30)。高速道路からだと、ただだだっぴろい荒野に見えたが、ひとたびそのなかに踏み込んで小さな道を走ってみると、意外と起伏がある。小さな波が波打つようにつらなっている。その波に貼り付けられたみたいな牧草地と向日葵畑と、それらがひん剥かれてひりひりに焼けた大地。その波間をバスはうわんうわん揺れながら走っていく。
   
またしてもマルコの歌が聴こえてくる。Bちゃんは、と振り返るとやっぱり爆睡。
途中、いくつも小さな、朽ちかけたような寒村を通り過ぎる。どう見ても廃村のようなのに、村はずれのベンチにおばあさんが坐っていたり、乗客が降りていったりする。ポルトガル映画に出てくるような、打ち捨てられた羊しかいないような村々、なんであたしここにいるんだろう・・・
シロスに到着したのは午後6時半ころ。村外れでバスを降りて、中心(マジョール)広場まで一分くらい。ほんとに小さな村なんだな。
予約したのは広場に面したホテル。
ホテルというより旅籠というほうがぴったり。修道院の斜め前という最高のロケーションだけど、それはこの村のすべての宿とバルとレストランも同じなわけで、それも数えるほど、三つか四つしかないわけだから、いずれ全部を回ることになるのだろう。とりあえずチェックイン。
   親戚のうちっぽくていい
 玄関ホールはなにか貫禄 

もう修道院の回廊に入るには遅いから、少し休んで村を探索、といっても10分ほどでだいたい村が一周できてしまう。
      奥が修道院の鐘楼
修道院の裏山にのぼってぼんやり 
  

7時過ぎなのに真昼のように強い陽が射している。もう暑くはない。肌寒いくらいだ。レストランやバルが広場に出したテーブルは満席。みなだらだらなにかを飲んでいる。スペインは夕飯の開始時間が遅い(だいたい9時か、9時半くらいから)から、みなそれまでの時間をそうやってだらだらと過ごすのだろう。だいたいレストランに9時にいっても人なんかいないんだ、一番に飯屋に入るなんて負けだ!くらいな感じなんじゃないか。あたしだって負けたくないよ、ちょっと寒いけど宿の隣のバルで、外のテーブルに腰を下ろし、ワインなんて飲んでやろうじゃないの、とやせ我慢したのがよくなかった。
 
急速に、そして強烈に底冷えし、結局9時までも我慢できず、店のひとに頼んで内部のレストラン席に移動させてもらい、案の定、いの一番で夕飯を取るひとになってしまう。といっても全然腹減ってないからわたしは野菜スープ、Bちゃんは子ヤギの煮たか焼いたかしたもの。クセのある肉で、わたしは苦手でした。明日は別のレストランへ行こうね。