美術館と時間旅行

yokkobukko2008-11-02

上野に行く。美術館ってほんとひさしぶり。昔、千駄木に住んでいたころは、すごく近かったから、よくお散歩できてたけどな。さすがに休日の上野はすごいひと。東京都美術館フェルメール展は1時間待ちとかいってる。フェルメールっていつのまにそんな人気者になったんだろう。訪れたのは西洋美術館のヴィルヘルム・ハンマースホイハンマースホイの絵をじかにみるのは、これがはじめてです(たぶん)。そもそもが松浦寿輝の「半島」の表紙でみたのが、この画家を認識した最初だから、ほんと最近知った画家だ(美術史上では大御所ですが)。それは黒衣の女性がお盆かなにかを脇にもって、壁際のテーブルの前に後ろ向きに立っている絵。なにか変なんだけど、絵のなかにヒントが極端に少なく、不安の正体ははっきりしない。たった1枚なのに、非常に気になる絵だった。そのハンマースホイが今回は、こんなにたくさん、いきなり、まとめて見れるわけですよ。すごいな、東京。白とベージュ地の淡々とした色調。ひとのいない、もののない部屋、風景は靄のなかの幻のよう。ひとつ以上ある、浮遊する視点のせいで、自分さえ幽霊になったような気がする。なんだろうな、パースペクティブは存在してるんだけど・・・生まれてこのかた目の見えなかったひとが急に視力をもって世界を見ると、こんなかもしれない。奥行きの意味がわからない、目の前の景色を情報に分解できないというように・・・うん、たのしかったです。
            なんかもうよそのまち 
このあと、芸大美術館で素描展を見て、そのまま谷中へ歩き、千駄木本駒込と、昔住んでいた家を一軒いっけんめぐったりして、気がついたら二時間歩きっぱなしだった。さすがにつかれた。昔よくいったイタリアンに行ったら、むこうも憶えていてくれて、いっぱいおまけしてくれた。ので腹いっぱい。